こんなお悩みはありませんか?
「裁判所から書類が届いて頭が真っ白になった」
「どう対応していいか分からず、つい放置してしまっている」
期限を確認してください
慌てなくて大丈夫です。書類が届いた時点では、まだ打てる手があります。ただし放置だけは、給与や預貯金の差押えにつながる危険な選択です。まずは書類を捨てずに、期限を確認してください。
借金の滞納が続くと、債権者は裁判所を通じて回収に動きます。その入口が「訴状」や「支払督促」です。どちらも放置すると、相手の請求がそのまま認められ、給与や預貯金の差押えに進むおそれがあります。
ただし、書類が届いた時点で「もう終わり」ではありません。期限内に対応すれば、請求内容や消滅時効を確認し、分割和解や債務整理を検討する時間を作れます。この記事では、裁判所から「訴状」や「支払督促」が届いたときに今すぐやるべきことを弁護士がご説明します。
結論|「放置」だけは絶対に避ける。期限内の対応が命綱
何もしないと、相手の請求がそのまま認められ、給与や預貯金の差押えにつながることがあります。
基本的に、支払督促は受け取った日の翌日から2週間以内、訴状は呼出状に記載された答弁書提出期限までに対応する必要があります。
支払督促に対しては督促異議、訴状に対しては答弁書をそれぞれ期限内に提出すれば、いきなり不利な結論が確定する可能性を下げられ、その間に和解や債務整理などの解決や時効の主張を検討できます。

裁判所から書類が届いたら、最初にすべき5つのこと
- 届いた書類は封筒ごとすべて保管する(裁判所名・事件番号・受取日・期限の確認に必要です)
- 受け取った日をメモする(支払督促の2週間は受取日を基準に進みます。家族が受け取った場合は実際の受取日を確認)
- 「訴状」か「支払督促」かを確認する(同封の呼出状・答弁書用紙・督促異議申立書もあわせて確認)
- 債権者への連絡や支払いを急がない(古い借金では「払います」のひと言や一部の支払いで時効の主張が難しくなるおそれがあります)
- 書類一式を持って弁護士に相談する(期限が数日後でも、過ぎていても、できるだけ早く)
まず確認|届いたのは「訴状」?「支払督促」?
| 訴状 | 支払督促 | |
|---|---|---|
| 手続き | 債権者が裁判所に訴えを起こし、裁判官が審理する手続き | 債権者の申立てに基づき、簡易裁判所の書記官が発する簡易な手続き(発付前に言い分は聞かれない) |
| 期限 | 呼出状に記載された答弁書の提出期限と第1回期日 | 受け取った日の翌日から2週間以内の督促異議 |
| 放置すると | 相手の請求どおりの判決が出る可能性 | 仮執行宣言が付き、差押えを申し立てられる可能性 |
| 対応 | 答弁書の提出・期日対応。和解・時効・債務整理の検討 | 督促異議の申立て。通常の訴訟に移行して対応 |
支払督促が届いた場合|最初の期限は2週間
支払督促は、債権者の申立てだけに基づいて簡易裁判所の書記官が発する手続きで、発付前にあなたの言い分は聞かれません。債権者の請求に反論があるなら、受け取った日の翌日から2週間以内に「督促異議」を申し立てる必要があります。この異議を出すと通常の訴訟に移行し、話し合いや反論の場ができます。
異議を出さないと、債権者は「仮執行宣言」を申し立てられるようになり、仮執行宣言付支払督促が届くと差押えなどの強制執行が可能になります。仮執行宣言付支払督促にも受領から2週間以内なら異議を申し立てられますが、それだけで強制執行が当然に止まるとは限りません。差押えを止めるには、異議とは別に「強制執行停止」の申立てが必要になることがあります。
異議は、同封されている「督促異議申立書」の用紙に記入して、支払督促を発した簡易裁判所に提出します(郵送可)。異議の理由を書く必要はなく、費用(収入印紙)もかかりません。
イメージしやすいよう、実際の用紙に近い形の記載例を示します(青字が記入する部分です)。
令和8年(ロ)第1234号(支払督促の右上にある事件番号を転記)
督促異議申立書
上記番号督促事件について発せられた支払督促に対して、異議の申立てをします。(用紙に印字済みの定型文。このままでOK)
送達場所の届出(裁判所からの書類をどこで受け取るか)
☑ 上記の場所で受け取りたいので、同所あてに送達してください。
□ 次の場所で受け取りたいので、次の場所あてに送達してください。
言い分の欄(□1 分割払いについて債権者との話し合いを希望します/□2 その他)
※空欄のまま提出できます。古い借金で時効の可能性があるときは、分割希望にチェックを入れないでください(支払いを前提とする姿勢を示すことになるため、時効の検討が先です)。
宛先:◯◯簡易裁判所 御中(支払督促を発した簡易裁判所。持参または郵送で提出。FAXでは受け付けない扱いが一般的です)
※用紙の様式は、裁判所や事件の受付時期(新法適用か旧法適用か)によって多少異なります。必ず同封されている用紙を使い、上記は記入の参考にしてください。用紙をなくした場合は、事件番号・当事者・「支払督促に対し異議を申し立てる」旨・日付・氏名を記載して自分で作成しても構いません。
訴訟に移行すると、後日、裁判所から期日呼出状が届きます(請求額が140万円を超える場合は地方裁判所に移ります)。訴訟では、和解の話し合いや、時効・残高の主張ができます。
訴状が届いた場合|答弁書の提出期限と第1回期日を確認
訴状が届いたということは、民事訴訟を起こされたということです。通常、期日呼出状・答弁書の用紙・提出方法の案内が同封されています。答弁書を出さず期日にも欠席すると、相手の主張を争わないものと扱われ、請求どおりの判決が出ることがあります。
詳しい言い分の整理が間に合わない場合でも、まず次の形で期限内に提出できます。
こちらも用紙に近い形の記載例を示します(青字が記入する部分です)。
令和8年(ハ)第1234号 貸金請求事件(訴状・呼出状に記載の事件番号と事件名を転記)
原告 ◯◯株式会社 被告 熊谷 太郎
答弁書
第1 請求の趣旨に対する答弁
1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は、原告の負担とする。
との判決を求める。
※「棄却する」=「原告の請求は認めない」という意味の定型文です。用紙に印字されている場合はそのままで構いません。
第2 請求の原因に対する認否
追って認否する。
※詳しい言い分の整理が間に合わないときの書き方です。残高や取引内容に間違いがあれば、その内容を書きます。
話合いによる解決(和解)を希望する場合
☑ 話合いによる解決(和解)を希望します。
☑ 分割払いを希望します。(1か月 金1万円ずつ)
※古い借金で時効の可能性があるときは、この欄は記入せず、先に時効を検討してください。
※用紙の様式は裁判所や手続の種類によって異なります(上記は簡易裁判所の書式を参考にした一例)。同封の用紙がある場合はそれを使い、記載例は参考としてください。事案により適切な記載は異なります。
答弁書を書くときの注意:
- 内容を理解しないまま「請求を認める」と書かない
- 残高や取引内容に確認が必要なら、その旨を書いて争う姿勢を示す
- 分割払いの希望だけでなく、時効などの法的な反論がないかも検討する
- 古い借金で時効の可能性がある場合は、分割希望を書く前に時効を検討する(答弁書で時効を主張する方法もありますが、書き方に注意が必要なため弁護士への相談をおすすめします)
※「異議」「答弁」は、まず期限内に出すことが重要です。
放置するとどうなる?
- 相手の請求どおりの判決・支払督促が確定する(実際は残高が違う、時効が完成している、という事情があっても自動的には考慮されません)
- 債権者は判決等を使って、給与や預貯金の差押えを申し立てられるようになる
- いったん確定すると後から争うことは非常に難しくなり、その後(少なくとも)10年間は差押えを受ける可能性が残り続ける
古い借金なら「消滅時効」を確認
長期間請求がなかった借金や、債権回収会社からの突然の請求では、消滅時効が完成している可能性があります。ただし裁判所が自動的に時効を適用してくれることはなく、訴訟の中で時効を主張する必要があります。
注意:債権者に電話して「少しずつ払います」と約束したり、一部を支払ったりすると、時効の主張が難しくなることがあります。古い借金の訴状・支払督促は、相手に連絡する前に、まずは最後に返済した時期を確認してください。
関連記事:時効援用通知書の書き方|自分で使える無料テンプレート・送り方・注意点/債権回収会社から請求が来たら?身に覚えがない・古い借金の時効と対処法
本物?それとも架空請求?(見分け方)
本物の訴状・支払督促は、原則として「特別送達」という郵便で、郵便職員から手渡しで届きます。
- 裁判所名・事件番号・当事者名が書かれているか確認する
- 不安なときは、書面に書かれた電話番号ではなく、裁判所の代表番号を自分で調べて事件番号を伝えて確認する
- メール・SMS・ハガキだけで「訴訟最終通告」「未納料金」などと支払いを求めるものは、まず架空請求を疑う
- 本物の裁判所からの書類なら、身に覚えがなくても放置しない

なお、2026年5月に民事裁判のデジタル化が全面施行され、事前に裁判所のシステムの利用を届け出た人には、書類がシステム上で送達され、メールで通知が届くことがあります。ただし、メールやSMSだけで振込先を指定して支払いを求めてくるものは、裁判所をかたる詐欺を疑ってください。
やってはいけないこと
- 怖いからといって、封筒を開けずに放置する(期限は進み続けます)
- 期限を確認する前に債権者へ電話し、その場で支払いを約束する
- 時効を確認する前に「少しだけなら」と一部を支払う
- 内容を理解しないまま答弁書に「請求を認める」と書く
- 「弁護士に相談したから期限も止まった」と思い込む(裁判所の期限は自動では止まりません)

弁護士に依頼するとできること
- 届いた書類・契約書・取引履歴を確認し、請求内容と期限を整理する
- 督促異議申立書や答弁書を作成し、訴訟対応を代理する
- 消滅時効・支払済み・請求額の誤りなど、法的な反論がないか検討する
- 一括返済が難しい場合、分割和解を交渉する
- 他の借金も含めて、任意整理・個人再生・自己破産のどれが適切かを検討する
弁護士が受任通知を送ると、基本的に、貸金業者などからの直接の取り立てはストップします。ただし、すでに裁判所で進んでいる訴訟や支払督促の期限までは自動的に止まりません。受任後も、期限内の書面提出や期日対応を並行して進める必要があります。

関連記事:任意整理とは?メリット・デメリット・費用・手続きの流れ
いつまでに相談すべき?
理想は、書類を受け取った当日か翌営業日です。遅くとも、支払督促の2週間や答弁書の提出期限が来る前にご相談ください。
なお、すでに期限を過ぎていても、段階によっては、まだ取れる手続きが残っていることがあります。
相談時にご用意いただきたいもの:
- 裁判所から届いた封筒と書類一式
- 債権者からの請求書・督促状・契約書
- 最後に返済した時期が分かるもの(通帳・明細など)
- 他の借入先・残高・毎月の収入と生活費が分かる資料
よくある質問
Q.訴状の第1回期日に出席できません。どうすればよいですか?
A.まず答弁書を期限内に提出してください。第1回期日は、出席しなくても提出した答弁書の内容を陳述したものと扱われることがあります。しかし、それ以降の期日は事案によって異なりますので、自己判断で欠席を続けるのは危険です。
Q.借金があるのは間違いありません。答弁書を出す意味はありますか?
A.あります。分割和解の交渉、利息・遅延損害金・残高の確認、時効の検討、他の借金も含めた債務整理の検討など、出すことで得られる選択肢があります。
Q.身に覚えのない請求です。無視してよいですか?
A.本物の裁判所からの書類であれば、身に覚えがなくても無視は危険です。争わなければ相手の請求が認められる可能性があります。まず裁判所に事件の存在を確認し、弁護士にご相談ください。
費用
借金・債務整理のご相談は無料です。債務整理として解決を図る場合の弁護士費用は、任意整理が債権者1社あたり44,000円(税込)、自己破産が440,000円(税込・管財事件は550,000円)、個人再生が550,000円(税込・住宅ローン特則の場合は660,000円)です(いずれも分割払い可・実費等は別途)。法人の破産や、個人事業主の方の自己破産・個人再生は事案により異なります。訴訟・支払督促への個別の対応費用は事案により異なるため、ご相談時にお見積もりをご提示します。
まとめ|期限内の対応が最優先
- 訴状・支払督促を放置すると、判決や仮執行宣言を経て差押えに進むおそれがある
- 支払督促は受け取った日の翌日から2週間以内に督促異議を
- 訴状は答弁書を期限内に提出し、第1回期日を確認
- 古い借金は、支払いや約束の前に消滅時効を確認
- 裁判所の期限は自動では止まらない。書類一式を持って早急に相談を
裁判所から届いた書類をお手元にご用意のうえ、LINEまたはお電話でご相談ください。