こんなお悩みはありませんか?
「自己破産という言葉は聞くけれど、実際に何がどうなるのか分からない」
「借金を返せずに自己破産するなんて、恥ずかしくて誰にも言えない」
弁護士から最初にお伝えしたいこと
自己破産は、返せなくなった借金を整理して生活を立て直すために、法律が用意している制度です。返せなくなったこと自体を責められる手続きではありませんし、恥ずべきことでもありません。2025年には、全国で8万3千件を超える個人の自己破産が申し立てられています。
この記事では、自己破産をすると何が起きて、何が手元に残るのかを、順を追ってご説明します。
結論|3つのポイント
自己破産を裁判所に申し立て、免責が認められると、原則としてすべての借金の支払義務が免除されます。
自己破産をしても生活に必要な財産は手元に残せます。埼玉の運用では、合計99万円以下が一つの目安です。
ギャンブルや浪費などの借金でも、免責が認められないと決まったわけではありません。裁判所の判断で認められること(裁量免責)が実務上多くあります。
自己破産とは?
自己破産とは、簡単にいえば、借金の支払義務を免除してもらうための国が用意した制度です。
「破産」という言葉には重い響きがありますが、借金を返せなくなった人が生活を立て直せるように、法律があらかじめ用意している救済の仕組みです。
手続きはどうやるのか
裁判所に申し立てをします。申立書や財産資料など手続きに必要な書類をそろえて提出すると、裁判所がそれを確認し、最終的に支払義務を免除してよいかどうかを判断します。
書類が多く、手続きも複雑であるため、弁護士に依頼して進めるのが一般的です。
実は2つの手続きでできています
あまり知られていませんが、自己破産は次の2つの手続きが組み合わさった手続きです。
- ① 破産手続… 一定の価値のある財産があれば、お金に換えて債権者に分配(配当)します。財産がなければ、この作業は行われずに終わります。
- ② 免責… 残った借金の支払義務を、裁判所が免除します。
「自己破産=借金がゼロになる制度」と理解されている方が多いのですが、正確には②の免責が認められて、はじめて支払義務がなくなります。後で説明する「免責が認められない場合」は、この②の話です。

自己破産できる条件とは?
自己破産には、「借金が◯◯万円以上ならできる」といった最低額の決まりはありません。
法律上の基準は、支払不能――収入・財産・借金の額などから見て、今後継続して返済していくことができない状態にあるかどうかです。たとえば同じ300万円の借金でも、収入や生活費、家族構成によって判断は変わります。借金の額だけで決まるものではなく、総合的に判断されます。
返済に充てられる余力が残っているうちは、任意整理や個人再生といった他の方法を検討することになります。
自己破産のメリット
① 借金の支払義務がなくなる
免責が認められれば、原則としてすべての借金の支払義務が免除されます。減額ではなく、免除です(=0円)。
※ただし、税金・社会保険料や養育費など一部の債務は免除されません(非免責債権)。詳しくは「免責が認められない場合」で説明します。
② 督促や取立てが止まる
弁護士が受任通知を送った時点で、消費者金融やクレジットカード会社などからの本人への直接の督促・取立ては原則として止まります。申立ての前から、精神的な負担が軽くなります。
③ 生活に必要な財産は手元に残せる
自己破産をすれば「全財産を失う」というのは誤解です。
手元に何も残らなければ、免責を受けた翌日から生活ができなくなってしまいます。自己破産は生活を立て直すための制度ですから、一定の財産は残せるように、あらかじめ設計されています(自由財産)。
▼法律で残せると決まっているもの
- 99万円以下の現金
- 差押えが禁止されている財産
- 生活に必要な家財道具(家電・家具・寝具など)
- 給与のうち一定の部分
- iDeCo(個人型確定拠出年金)や小規模企業共済などの年金資産
▼実務の運用で残せることが多いもの
裁判所ごとに「この程度の価値であれば処分しない」という運用の基準があり、これを下回る財産は手元に残ることが多くなります。
- 年式の古い自動車(初度登録から普通車で6年、軽自動車で4年程度が経過しているもの)
- 少額の預貯金や保険の解約返戻金
また、個別の事情によっては、裁判所の判断で残せる範囲が広がることもあります(自由財産の拡張)。どこまで残せるかは、財産の内容と裁判所の運用によりますが、さいたま地方裁判所(埼玉県内の裁判所)の運用であれば、現金・預貯金・保険の解約返戻金・自動車などを合計して99万円以下であれば、概ね残せることが多いでしょう。
一方で、持ち家、一定額を超える価値のある車、NISA口座の株式・投資信託などは、原則として処分の対象になります。家を残したい場合は、個人再生(住宅ローン特則)も比較します。→ 個人再生とは?減額幅・住宅ローン特則・費用・手続きの流れ

④ 手続き後の収入は、自分のものになる
破産手続の対象(処分の対象)になるのは、開始決定の時点で持っていた財産です。開始決定より後に得た収入(給与など)は手続きに取り込まれず、自由に使えます(新得財産)。
借金の返済に追われることがなくなり、毎月の収入をそのまま生活と立て直しに充てられるようになります。督促のない生活に戻り、ここから再スタートを切れます。
自己破産のデメリット(正確に理解する)
信用情報に登録される
一定期間、新たな借入れ・クレジットカード・ローンが難しくなります(いわゆるブラックリスト。概ね5〜7年程度が目安です)。スマートフォン端末の分割購入や、賃貸契約の保証会社の審査に影響することもあります。
なお、登録される内容や期間は信用情報機関によって異なり、登録抹消後の審査も各社によって異なります。
※なお、長期の滞納があると、自己破産をする前からすでに信用情報に登録されていることが少なくないため、あまり影響がない場合もあります。
保証人に請求がいく
保証人が付いた借金は、保証人へ請求が向かいます。事前のご相談が重要です。
銀行口座が凍結されることがある
債権者の中に銀行・信用金庫・労働金庫などがあり、そこに預金口座をお持ちの場合、受任通知が届いた時点で口座が凍結され、残高が借金の返済に充てられます(相殺)。
残高がある場合は速やかに引き出し、給与などの振込が予定されているときは振込先を変更しておく必要があります。なお、引き出したお金は、手続きの中では財産として申告が必要です(何に使ったかが分かるようにしておいてください)。ご相談の際にお伝えします。
官報に掲載される
国の機関紙に氏名・住所が載ります(一般の人が日常的に見るものではありません)。
手続き中の資格制限
警備員・保険外交員など一部の職業は、手続き期間中に制限を受けることがあります(免責後は回復します)。
一方で、戸籍・住民票・運転免許証に載ることはなく、選挙権もなくなりません。家族の財産や進学・就職が直接制限されることもありません(よくある誤解です)。家賃を滞納していなければ、いまの賃貸住宅にもそのまま住み続けられます。
自己破産で免責が認められない場合(免責不許可事由)
借金の理由や経緯によっては、免責が認められない場合があります。これを免責不許可事由といい、代表的なものはギャンブルや過度の浪費による借金です。
ただし、そうした事情があっても、反省の状況や生活の立て直しの見込みなどを踏まえて、裁判所の判断で免責が認められること(裁量免責)が実務上多くあります。「うちはギャンブルだから無理だろう」と自己判断せず、まずご相談ください。
⚠ 申立ての前にやってはいけないこと
よかれと思ってした行為が、かえって手続きを難しくすることがあります。次の3つは、必ず事前にご相談ください。
① 特定の相手にだけ返済する(偏頗弁済)
「迷惑をかけたくないから」と、家族や友人にだけ返済する行為です。免責後であれば任意に返すことは自由ですので、順番を間違えないでください。
② 財産を隠す・名義を変える
財産を親族名義に移すなどの行為は、厳しく調査されます。免責が認められなくなるだけでなく、それ自体が犯罪になることもあります。
③ 返せる見込みがないのに、返せるかのように装って借りる
破産を考えるほど返済が難しくなってから、新たな借入れやクレジットの利用をすると、免責の判断で問題になります。とくに、返済できるかのように装って借り入れた場合は、免責が認められない理由になります。
免責されても残る支払い(非免責債権)
免責が認められても、次のものは支払義務が残ります。
- 税金、社会保険料
- 養育費、婚姻費用などの扶養にかかわる支払い
- 故意または重大な過失で人の生命・身体を害した場合の損害賠償
- 従業員に支払っていない給料 など
個人事業をされていた方はご注意ください
個人事業主の方は、消費税・源泉所得税・国民健康保険料・国民年金保険料などの滞納が大きくなっていることがあります。従業員がいた場合は、社会保険料の事業主負担分や未払いの給料も加わります。従業員の給料から預かったまま納付していない社会保険料や源泉所得税も、同じく残ります。
これらはいずれも免責されないため、自己破産をしても支払義務が残ります。金額によっては、免責を受けても生活の立て直しにならないことがあります。
滞納額が大きい場合は、破産の前に、税務署・市区町村・年金事務所と分割納付や猶予の相談をしておくことが重要です。どのくらい残るのか、どう払っていくのかも含めて、ご相談時に一緒に見通しを立てます。
自己破産が向いている人
自己破産が向いているのは、次のような場合です。
- 借金を5年(60回)に分けても、毎月の返済に耐えられない
- 収入が不安定である、または年金生活・生活保護を受給しているなど、返済に回せる収入(原資)がない
- 個人再生で元本を減額しても、なお返済を続けられる見通しが立たない
- 手放したくない財産(例えば持ち家など)がない(または、手放してもよいと考えている)
ほかの方法が向いている場合
- 安定した収入があり、将来の利息をカットすれば返していける → 任意整理
- 住宅ローンを支払い中の家を残したい → 個人再生(住宅ローン特則)
どの方法が合うかは、借金の額と収支のバランス、残したい財産があるかどうかで決まります。自分で決めてから相談する必要はありません。ご相談の際に、一緒に見通しを立てます。
自己破産の手続きの流れと期間
ご相談・受任
受任通知の送付で、督促は原則ストップします。
必要書類の収集・申立書の作成
財産・収入・借入れの状況を整理し、申立書を作成します。
裁判所へ申立て
ここで、同時廃止と管財事件に分かれます(次の項で説明します)。
(管財事件の場合)管財人との面談・調査
破産管財人が財産や経緯を確認します。
免責許可決定・確定
免責許可決定が確定すると、借金の支払義務が免除され、再スタートを切れます。

同時廃止と管財事件
- 同時廃止:処分すべき大きな財産がなく、免責不許可事由の調査も不要な場合の簡易な手続きです。費用が安く、比較的早く終わります。
- 管財事件:一定の財産がある、または免責などで調査が必要な場合に、破産管財人が選任される手続きです。同時廃止に比べて費用がかかり、財産の換価や調査に時間を要する場合は、期間も長くなります。
※破産管財人とは、裁判所が選任する調査官のような人で、一般的には弁護士が務めます。破産する方の財産を調べてお金に換え、債権者へ配当するほか、免責を認めてよいかどうかについて裁判所に意見を述べます。取り調べを受けるようなものではなく、事情をうかがって手続きを整理する立場の人です。
管財事件になりやすいのは、たとえば次のような場合です。
- 一定額を超える財産(不動産・保険の解約返戻金・退職金見込額など)がある
- 事業を行っている、または直前まで行っていた
- ギャンブルによる借金や、直前に一部の債権者だけへ返済した(偏頗弁済)など、経緯の調査が必要な場合
どちらの手続きになるかは財産・事情によりますが、申立て前の準備や整理のしかたによって振り分けが変わることもあります。ご相談時に、どちらの見込みかをお伝えします。
期間の目安
期間の目安は、申立てから免責の決定まで、同時廃止なら3〜4か月、管財事件なら3か月〜1年程度です。
なお、これとは別に、申立ての前に、弁護士費用の積立てと必要書類の準備の期間(事案により2か月〜1年程度)がかかります。受任通知を送った時点で返済は止まりますので、その間に費用を積み立てていただくことになります。
裁判所へ行く回数
「何度も裁判所に通うのでは」と心配される方が多いのですが、埼玉の運用では実際に出向くのは同時廃止であれば1回、管財事件であれば1〜2回出席します。事案によっては複数回になることもありますが、手続きの期間中も、普段どおりの生活を続けていただけます。
準備をお願いする主な書類(例)
申立てには、次のような書類が必要になります。
- 住民票(世帯全員分)
- 源泉徴収票または確定申告書(昨年分)
- すべての通帳(ネット銀行や、長年使っていない口座も忘れずに)
- 給与明細(直近2か月分)
- 保険証券と解約返戻金証明書(生命保険などがある場合)
- 車検証(自動車・バイクがある場合)
このほか、財産や事業の状況に応じて必要な書類をご案内します。そろっていなくても相談は始められますので、まずはそのままお越しください。書類の収集は受任後に一緒に進めます。
自己破産にかかる費用
弁護士費用
| 手続きの種類 | 弁護士費用(税込) |
|---|---|
| 同時廃止 | 440,000円 |
| 管財事件 | 550,000円 |
※上記は基本の料金です。債権者の数が多い場合や特別な調査が必要な場合などは増額させていただくことがあります。
※法人・個人事業主の破産は、調査の範囲が広くなるため、事案により増額します。
弁護士費用は分割払いが可能です。受任通知の送付後は債権者への返済が止まりますので、多くの方はその期間に分割でお支払いいただいています(分割の期間は、基本的に1年以内で設定しています)。相談は無料です。
裁判所に納める費用
| 同時廃止 | 管財事件 | |
|---|---|---|
| 申立手数料(収入印紙) | 1,500円 | 1,500円 |
| 郵便切手 | 数千円程度 | 数千円程度 |
| 官報公告費用 | 13,046円 | 17,049円 |
| 引継予納金(管財人の費用) | 不要 | 200,000円〜 |
官報公告費用は、どちらの手続きでも必要です。引継予納金は、破産管財人が選任される管財事件でのみ納めます。
※金額はさいたま地方裁判所の運用によるもの(2026年8月現在)です。改定されることがあります。
よくある質問
Q. 自己破産できる借金の最低額はありますか?
法律上の決まりはありません。ただし、安定した収入があり総額が比較的少ない場合は、任意整理など他の手続きで解決できることも多いため、どの手続きが合うかはご相談時に一緒に検討します。
Q. クレジットカードはどうなりますか?
手続き後は基本的に使えなくなります。もっとも、日常の支払いはデビットカードやプリペイドカード等で代替できます。なお、信用情報の登録期間(概ね5〜7年)が過ぎれば再びクレジットカードを申し込めるようになりますが、カードが発行されるかどうかは各社の審査によります。
Q. 手続き中に引っ越しや転職はできますか?
転職は一部の職業(警備員・保険外交員など)で手続き中の資格制限に注意が必要ですが、多くの方には影響しません。引っ越しは、管財事件の手続き中は裁判所の許可が必要になるものの、通常は認められます。申立て前の引っ越しは管轄の裁判所が変わることがあるため、事前にご相談ください。
Q. 家族や勤務先に知られませんか?
裁判所から家族や勤務先へ通知が行くことはありません。ただし、管財事件になった場合はご本人宛の郵便物が破産管財人に転送されます。また、同居のご家族の収入がわかる書類や、退職金見込額の資料(勤務先発行の書類)が必要になる場合があります。ご家族には早めにお話しいただいた方が、手続きは進めやすくなります。
Q. 一度自己破産をしていますが、もう一度できますか?
前回の免責許可決定が確定した日から7年が経過していない場合、基本的にはできません(破産法252条1項10号)。法律上は、事情によって裁判所の判断で認められる余地も残されていますが、極めて例外的です。過去に給与所得者等再生で再生計画を終えた方にも、同じ7年の制限がかかります(小規模個人再生の場合はかかりません)。
家族に知られるかどうかの一般的な説明は、借金が返せない…どうする?返済が苦しいときの対処法の記事もあわせてご覧ください。
まとめ
- 自己破産は、借金の支払義務を免除して生活を立て直すために国が用意した制度です。特別なことでも、恥ずかしいことでもありません
- 生活に必要な財産は残せます。「全部失う」は誤解です(埼玉の運用では、合計99万円以下が一つの目安になります)
- ギャンブルや浪費が原因でも、裁量免責が認められることは実務上多くあります。自己判断で諦めないでください
- 税金や社会保険料は免責されません。特に、個人事業をされていた方は、滞納額を事前に確認しておく必要があります
- 申立ての前に、特定の人にだけ返済したり、財産を移したりしないでください。よかれと思った行為が手続きを難しくします
- まずはお気軽に無料相談をご利用ください