こんなお悩みはありませんか?
「聞いたことのない『〇〇債権回収』という会社から、督促状が届いた」
「何年も前の借金。無視していいのか、払うべきなのか分からない」
支払う前・連絡する前に、時効の可能性を確認してください
正規の請求でも、古い借金なら時効を援用できる可能性があります。一方、放置すると裁判に進むおそれがあります。まずは書類を保管し、元の借入先と取引時期の確認から始めましょう。
聞き覚えのない会社から請求が届いても、必ずしも架空請求とは限りません。昔利用した消費者金融・カード会社・銀行などの債権が譲渡され、または回収を委託されて、債権回収会社から請求されていることがあります。この記事では、債権回収会社とはどんな会社なのか、架空請求との見分け方、無視した場合のリスク、時効の可能性を確認する手順を、対応の順番に沿って弁護士がご説明します。
結論|無視も即支払いもNG。まず時効の可能性を確認
借金は、元の貸主から債権回収会社に譲渡されることがあります。その場合、聞いたことのない会社からの請求でも本物です。ただし、実在の会社をかたる架空請求もあるため、見分け方をこの後ご説明します。
最後の返済(または支払期限)から5年以上たっていれば、時効の援用によって支払わずに済む可能性があります。
無視すれば裁判に進むことがあり、慌てて支払えば「債務の承認」と評価されることがあります。だからこそ「確認の順番」が大切です。
債権回収会社とは?なぜ知らない会社から請求が来るのか
債権回収会社(サービサー)とは、法務大臣の許可を受けて、金融機関などが持つ一定の金銭債権の管理・回収を行う株式会社です。元の債権者から債権を譲り受けて回収する場合と、回収業務の委託を受ける場合があります。長期間返済されていない借金は、元の消費者金融・カード会社・銀行などから債権回収会社へ移されることが多く、その結果「借りた覚えのない会社」から突然請求書が届きます。

代表的な債権回収会社には、SMBC債権回収、アビリオ債権回収、ニッテレ債権回収、パルティール債権回収、日本債権回収などがあります(※2026年7月時点の例です。最新の許可業者は法務省の一覧をご確認ください)。これらの社名に見覚えがなくても、昔の借入先から債権を引き継いで請求している場合があります。
請求書や同封の書面に「債権譲渡通知」「〇〇株式会社から債権を譲り受けました」といった記載があれば、この仕組みによるものです。請求自体は違法ではありませんが、だからといって、そのまま支払うべきとも限りません。次の章から、確認の順番をご説明します。
その請求は本物?架空請求との見分け方
本物の債権回収会社は、社名に必ず「債権回収」の文字が入ります(法律で義務付けられており、許可を受けていない業者がこの文字を使うことは禁止されています)。会社名は、法務省のホームページにある許可業者の一覧で確認できます。
そのうえで、次の表を参考にしてください。いずれも一つの判断材料にすぎず、どれか一つに当てはまるだけで本物・架空請求を断定することはできません。
| 確認ポイント | 本物 | 架空請求の疑い |
|---|---|---|
| 社名 | 「〇〇債権回収株式会社」(法務省の一覧に掲載) | 一覧にない社名・「法務省認定」など曖昧な肩書 |
| 届き方 | 郵便の書面(債権譲渡通知・請求書) | SMSやメールで「本日中に必ずご連絡ください」と煽る |
| 元の借入先 | 心当たりのある貸主名の記載がある | 借入先の記載がない・記憶に全くない |
| 支払方法 | 銀行振込 | 電子マネー・ギフトカード・個人名義の口座 |
| 文面 | 契約日・金額など具体的な記載 | 「民事訴訟最終通告」など不安を煽るだけの文面 |
⚠️ 実在する債権回収会社の社名をかたる架空請求もあります。実際に、「債権移行につき確認事項がございます。本日中に必ずご連絡ください。」といったSMSが多数報告されており、法務省や国民生活センターが注意喚起しています。そのため、請求に心当たりがない場合や真偽を確認できない場合は、書面やSMSに記載された番号へ直接連絡せず、法務省の一覧や会社公式サイトで確認した代表番号を利用してください。判断がつかないときは、連絡自体を控えてご相談ください。
※裁判所から届く本物の書類(訴状・支払督促)との見分け方は、裁判所から訴状・支払督促が届いたときの期限と対応で詳しく解説しています。
債権回収会社からの請求を無視するとどうなる?
放置しても、請求が自然に消えることはありません。督促が続いたのち、訴訟や支払督促を申し立てられることがあります。そのまま対応しないと、相手の言い分どおりの判決等が確定し、給与や預貯金の差押えに進むおそれがあります。

さらに重要なのは、時効との関係です。すでに時効期間が経過している場合でも、裁判を放置して判決が確定してしまうと、原則として、もはや時効の主張はできなくなります。時効期間がまだ経過していない場合も、判決の確定によって時効期間は更新され、そこから原則10年に延びます。「古い借金だから放っておけば大丈夫」という判断は、時効で解決できたはずの機会を自ら失うことにつながりかねません。
裁判所から書類が届いた場合の対応期限は、裁判所から訴状・支払督促が届いたときの期限と対応をご覧ください。
支払い・電話の前に|やってはいけないこと
本物の請求だった場合、次の行動は「債務の承認」と評価され、時効を主張できなくなるおそれがあります。
- ❌ 少額でも「とりあえず」支払ってしまう
- ❌ 電話で「来月から払います」など、支払う約束をする
- ❌ 送られてきた和解書・分割払いの書面にサインして返送する
- ❌ 「借りたのは事実です」と、債務を認める発言をする
なお、すでに少額を支払ってしまった場合や支払いの約束をしてしまったような場合でも、状況によっては、時効を主張できる余地が残っていることがあります。実際に、次のような事案で時効の主張を認めた裁判例もあります。
- 「今週中に1000円でも2000円でも入れてくれないと、裁判になって大変なことになりますよ」と言われ、少額を支払ってしまった(山形簡易裁判所・令和3年7月19日判決)
- 「訴訟決定のご通知」と題する書面に驚いて、1万円を振り込んでしまった(大分簡易裁判所・平成29年3月22日判決)
- 自宅への突然の訪問に動揺し、求められるまま確認書に署名して返送してしまった(宇都宮簡易裁判所・令和6年1月29日判決)
- 弁護士に時効と言われたと伝えたのに「時効など認められない」と強い口調で迫られ、支払ってしまった(岐阜地方裁判所・平成27年12月9日判決)
※いずれも、名古屋消費者信用問題研究会のウェブサイトに掲載された裁判例を、一般向けに要約したものです。
いずれの場合も、大切なのは、これ以上、支払いや約束を重ねないことです。
古い借金は時効になっている可能性があります
消費者金融・カード会社などの借金では、一般に、最後の返済(または支払期限)から5年以上たっていれば、時効を援用できる可能性があります。ただし、過去の判決・支払督促、差押え、一部弁済、支払いの約束などがあると結論が変わります(判決等で確定した権利の時効期間は原則10年です)。
時効は自動では成立しません。「時効を援用します」という通知を送って、はじめて支払義務がなくなります。期間の数え方・通知書の書式(無料ダウンロード)・送り方は、時効援用通知書の書き方・無料テンプレートで詳しく解説しています。
対応の流れ|ケース別の次の一手

- 書類を捨てずに保管する(封筒も。消印が日付の証拠になります)
- すぐに電話しない・支払わない(対応は、時効の可能性の確認が先です)
- 最後に返済した時期を思い出す(分からなければ、信用情報の開示で手がかりを得られる場合もあります。)
そのうえで——
- 最後の返済から5年以上経過している場合は、時効援用を検討できる可能性があります。ただし、過去に裁判や支払督促が行われていないか、途中で支払いや約束をしていないかなどの確認が必要です。条件を確認したうえで、時効援用通知書の書き方・無料テンプレートの書式を使ってご自身で通知する方法もあります
- 裁判所から書類が届いた/過去に裁判・支払督促があったかもしれない/最後の返済がいつか分からない/他にも借金がある → 判断を誤ると取り返しがつきません。対応する前にご相談ください。
よくある質問
Q.債権回収会社からの請求は無視してもよいですか?
おすすめできません。放置しても請求は消えず、訴訟や支払督促に進むと差押えのおそれがあります。時効の可能性がある場合も、放置ではなく「援用」の手続きが必要です。
Q.債権回収会社に電話すると時効が使えなくなりますか?
電話をかけたこと自体で直ちに時効が使えなくなるわけではありません。ただし、通話の中で支払いの約束や債務を認める発言をすると、時効を主張できなくなるおそれがあります。時効の可能性を確認する前の連絡は控えるのが安全です。
Q.債権回収会社が自宅に来ることはありますか?
書面や電話による請求が一般的ですが、訪問が法律で禁止されているわけではなく、行われることもあります。訪問を受けても、その場で書面に署名したり、支払ったりする必要はありません。「確認します」とだけ伝えて、書面を受け取るにとどめてください。
Q.身に覚えがない請求でも支払う必要がありますか?
まず本物の請求かどうかの確認が先です。架空請求であれば支払う必要はありません。本物でも、古い借金であれば時効の可能性があります。いずれにしても、確認前に支払うことはおすすめできません。
Q.債権譲渡通知書が届いていなくても請求されることはありますか?
あります。転居などで通知が届いていなかったというケースも少なくありません。通知が手元になくても債権譲渡自体は有効なことがあるため、請求の根拠となる契約・元の借入先を書面で確認することが大切です。
まとめ
- 知らない「債権回収会社」からの請求は、昔の借金が引き継がれたものかもしれません(ただし、実在の社名をかたる架空請求もあるため見分けは必要)
- 無視は裁判・差押えと時効を失うリスク、慌てた支払いは時効を主張できなくなるリスク
- 最後の返済から5年以上たっていれば、時効の援用で支払わずに済む可能性
- 支払う前・連絡する前・書面に署名する前に、まず確認を。書類は捨てずに保管してください